大型書店セールス対決の最終章。b氏の登場で物語はクライマックスに。はたして勝つのはどっちだ。

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書店シリーズ第3弾です。

情報収集のために立ち寄った大型書店で、商談の現場を目の当たりにすることができたという、あまりにも幸運な出来事。それをお伝えすべく、書店シリーズを急遽キャンペーン化し、お届けしてまいりました。シリーズ第1弾、第2弾はそれぞれ、以下のとおりです。まだ、お読みになっておられないかたは、先にお読みいただけると、より一層理解が進むと思われますので、是非お読みいただければと思います。

第1弾 大型書店でであった、ふたりの出版社のセールス。果たして勝ったのは

第2弾 大型書店で出会ったふたりのセールスのその後1

新規事業を立ち上げるにあたっての情報収集のため、近所の大型書店に訪れたときに、偶然にも、出版社のセールスが書店員に商談をするシーンにでくわした。しかも2件も。

セールスがバイヤーに対して商談をしかける場面に、一般人がでくわすことは、まずない。商談のほとんどが密室でおこなわれるか、もしくは、回りに人がいないところでおこなわれるからだ。そんな珍しいシーンに、なんと私は2回も遭遇したのだ。これは興奮せずにいられない。

セールスのブログを書いている私にとって、これ以上のネタはないじゃないかと、情報収集のために、本を買うために行ったことも忘れて、わたしは、彼らの商談に耳を思いきり傾けたのだ。

その様子をブログで伝えようとのぞんだキャンペーン。興奮ぶりが伝わればと思う。

前々回と前回で、a氏が商談する様子を伝えた。過去の記事を読まない人のために書くが、この劇には、書店員ひとりと、出版社のセールスa氏とb氏が登場する。a氏とb氏は違う出版社のセールスだ。時間差で書店に登場し、それぞれ書店員に商談をおこなった。

前回の記事では、a氏の商談について書いた。詳細は、その記事に譲るが、残念ながらa氏は、セールス必修のスキルであると私が思っている、空気を読む力が足らず、書店員を怒らせてしまうという致命的ミスを起こしてしまった。

これ以上a氏とはなすのは時間の無駄と感じた書店員は、ウルトラcをお見舞いした。わかった、買ってあげるから、もう帰ってと言わんばかりに、本を7冊注文した。ところが、それでもa氏は、それに気づくことなく、さらに質問を重ね、さらにあきれさせてしまった、というところで、前回の記事は締められている。

で、その後どうなったのかだが、なんと、a氏は、書店員が出した7冊の注文を5冊に減らしたのだ。書店員は最後に、駄目を押すように

「じゃあ、7冊送っといてもらえますか」

と、もう頼むから帰ってくれという思いを込めて言った。これに対してa氏は、驚くべき言葉を口にした

「5冊で結構です」
「はい?7冊ですよ」
「いえ、5冊で大丈夫です」
「ご、5冊ですか、、、わ、わかりました。じゃあそれで」
「ありがとうございました、失礼します」

a氏はなんと、書店員が7冊くれと注文しているのに、自らその数を減らすという暴挙にでた。信じられないだろう。セールスマンが商品を売りに行く。バイヤーがわかった買うわという。なのに、その数を減らす、つまり、2冊の受注をことわったということなのだ。普通に考えると信じられないだろう。だが、私にはすこしわかる。セールスをやっている人にもなんとなくピントきているのではないかと思う。

むりじいした。

そう思ったのだ。いくら空気を読めないと言っても、書店員が若干いやがっているのを感じたa氏。もしかしたら、ちょっと強引にセールスしすぎたのではないか。彼はルートセールスで、この書店とは、これで終わりというわけではない。取引はこの先も続くし、彼は、また、この店舗に顔をだす。押し売りで嫌われるのはさけないと、きっとそう思ったのだ。

確かにこの方法が功を奏することもある。

セールスは売り込むものだ。実際に売り込まないセールスはすくない。次から次へとやってくるセールスは、買って、買って、買ってとくる。バイヤーである書店員はもう、それにうんざりしている。そこに、買わないでいいですよというセールスがいたら、お、なんだ、このセールス、売り込まないのかと、ちょっと他社とは違うインパクトを残すことができる。

すきすきすきと毎日ラインを送ってきていた、あなたのことを好きと言ってくれる男から、急に連絡がないと、気になったりするあの感じに似ている。一瞬、うっ、となる。

5冊でいいですと言い切った、彼の表情は自信にあふれていたので、おそらく、そんな感じで言ったに違いない。ところが、今回の場合、完全に逆効果。なんやねんな、時間割いて、買うって言ったのに、いらんねやったら、売り込むなよという感じが、書店員の背中から漂っていた。

こうして、第1話は閉幕を迎えた。ようやく帰ったa氏が去るのを待って、書店員は深く息を吸い込み、そして大きく吐いた。

a氏は商談中一度も手から離すことがなかった、ビニール傘を右手に持ちかえ、書店のドアからでていった。
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b氏登場

みなさま、大変ながらくお待たせいたしました。いよいよb氏の登場です。b氏は、おそらくできる営業マンです。空気のよみかたがはんぱない。

実はこのb氏。書店にはいったのは、a氏より早かった。私が書店についたとき、すでに、書店内を駆けずり回って、自社の商品の在庫をチェックしていた。a氏が書店に入ってくるのを私はみたので、わかる。店に入った順番は、b氏、私、a氏の順番だ。

b氏が営業マンだとわかったのは、彼が書類を片手に在庫をチェックする様子がみてとれたからだ。業種は違うが、私もドラックストアーに行ったら、まず自社製品の在庫チェックから始めていたからだ。その雰囲気ですぐにわかった。

そうなのだ。出版社の規模により、チェックする冊数が多いとか少ないとか言うのはあるが、b氏が、a氏より先に店に入ったのに、すぐに商談に入らなかったのは、明らかにタイミングを測っていたからだ。

同じ場所を何度も行ききし、同じ棚を何度もチェックしている様子から、あきらかに様子を伺っている。そこにa氏登場。チェックもそこそこに、いきなり書店員に声をかける。先に入って、待っていたb氏は、おいおい、おまえ回り見ろよと思っているはずだ。俺のほうが先に入店してるやろ、俺が先やろ。俺が、間合いはかってんのわからんのか。

ああ、わからんねんな、まあええわ、行け行け、行って玉砕されろと思っているはずだ。少なくとも、私だったらそう思う。場合によっては、a氏の商品を買ったという理由で、b氏の商品が入らない可能性があるからだ。

いやいや、違う本だから関係ないでしょというのは少し違う。バイヤーには購入の予算が決まっていたり、この店のように、もう本をおくスペースが全然ない場合、a氏の本を買ったから、b氏の本を買えないなんて、普通にあるのだ。だから、先にいかれるのは、とてもムカツク。死活問題なのだ。

それでもb氏が今回、冷静だったのは、一瞬でa氏の実力を読み、a氏と書店員の商談を聞いていたからだろう。わたしはマーケティングの棚の後ろから、b氏は起業法の本が置いてある棚の裏側から、商談の様子を聞いていたのだ。ああ、この感じなら、お好きにどうぞ、俺の敵やないと判断したのだと思う。

a氏が帰ったのを見届けた私は、b氏が商談にはいるのを心待ちにしていた。予想通りではあるが、a氏が帰ったあとも、すぐにb氏は商談にはいらなかった。書店員がワゴンの本を完全に本棚に詰め終わるタイミングを見計らっていた。さすがb氏。これは、おもしろい商談が期待できると、ワクワクしながら、本棚を物色している振りをした。書店にはいって40分を経過している。

見事なセールス

「いつもお世話になっております、B出版のbです」

と、なんとも爽やかに書店員にちかづいた。

「ああbさん、こんにちは。ごめんね、お待たせしました」

おおおおお、きたあ〜と、声をあげそうになったのを必死でこらえながら、心のなかで何度もイエスイエスと叫んだ。やっぱそうだよな。

書店員の声質が、全然違った。あきらかに迷惑そうだったa氏との商談とはまるで違う。明るく1オクターブ高い声でb氏を迎えた。そして、そのセリフ。ごめんね、おまたせ。そう、書店員は、しっかりわかっていたのだ。b氏が先にきているのに、a氏と先に商談したのを詫びたのだ。

しかも、これ書店員は悪くない。a氏がいきなり商談したのだから。それでも、待たせたことをあやまる様子から、これだけで、書店員とb氏の関係が良好なのがわかる。付き合いが長いとかそういう問題ではおそらくない。順番や、間合い、空気を大事にする書店員にb氏の空気を読み、常識を大事にする姿勢がはまったのだ。

ずっと行なってきたb氏の態度が、蜜月の関係を作ったといえるだろう。こうなったら、商談がうまくいくかどうかなんて、知る必要もない。この瞬間に、商談は成立するのが決まっている。

わたしは、b氏と書店員の最初のやりとりを聞いただけで、そうだよね、b氏の圧勝だよねと思った。そして、文字通り、商談は一瞬で決まり、7冊の本を受注した。そして、a氏が喉から手がでるほど欲しかった多面展開をあっさりと、ものにした。

その商談の様子は、また記事を改めて書くことにする。もちろん、その商談の進め方もすばらしく、それがあったから、多面展開も決まったのだが、それより、なにより、商談にはいるまでの要素が、今回の商談を成功に導いている。

今回の大型書店商談物語は、これで一応の完結を迎える。記事の内容は、筆者の主観はいりまくりの、憶測に過ぎないことをここにお断りしておく。それでも、20年の営業経験でえた知識や体験例から、彼らの声や態度および表情から、読んだので、そう大きく外れていることはないと思う。

弊社ノームセールスでは、まずは普通の営業マンになりましょうと提唱している。今回のa氏は残念ながら、普通のレベルに達していなかった。もしa氏が普通レベルなら、結果はもう少し違ったものになっていたかも知れない。

相手が嫌がることはなにか、どうしたら喜んでもらえるか、極めれば営業はそれにつきるのではないかと改めて思った。深く考えさせられることとなった今回の書店劇場。みなさまにおかれましては、いかがだったでしょうか。

全国の営業マンの奮起を期待して、閉幕といたします。

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