商談を決めまくり、売り上げをあげまくっている超エリートな営業マンは、あることに配慮がなく、奈落の底に突き落とされた理由とは。

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営業マンや販売員にとって新規にモノやサービスを売ることはとても大切だ。売り上げを伸ばさないと会社はたちいかなくなるし、個人に落とすと毎月や毎週のノルマがある。売らないと、何やってんの?と上司から目玉が飛ぶ。だから、皆、売るために色々やるのだ。

今日は今週で一番大きい商談がある。これを決めるか決めないかで今月の売上を大きく作用するのだ。気合を入れて何日も準備し当日にのぞむ。準備を完璧にしたこともあって、見事に商談は一気に決まり、大口の受注となった。店をでた、中堅セールスマンみさおは、ガッツポーズを何度も繰り返し、よっしゃあと、すこし声を出して喜んだ。

嬉しさは、その瞬間がピークで、やがて徐々に落ち着いてくる。次の商談があるので、気持ちを切り替えないといけない。いつまでも余韻に浸っているわけにはいかないのだ。頬を両手のひらでパンパンと叩き、気合いを入れなおして、次の戦場に向かう。いつまでもヘラヘラ喜んでんじゃないよと自分に言い聞かせ、足を進める。

お見事である。ひとまわりもふたまわりも離れた部下や同僚に、俺がお前たちくらいの頃は、すごかったんだぜと、アフター5の居酒屋で、くだをまいている、過去の栄光にしがみつくしか脳がないおじさんと比べると、雲泥の差である。すぐに、前を向いて次に向かっている。こういう人は実際に成績がいい。

ところが、この中堅セールスマンみさお、超前向きな営業マンが最高かというと実は、そう簡単に話は進まない。これで、何度も失敗しているのだが、案外気づいていない営業マンや販売員は多い。おわかりだろうか。クライアントにとっては、その商談はまだ終わっていないのだ。

中堅セールスマンみさおがやっていた営業の場合。注文をいただいた商品が2日から5日後にクライアントに届く。そう、彼らは商品を受け取ったときに、もう一度その商談を思いだすのだ。ああ、そういえば、河村くんと商談して、商品とったんだった、ちょっと多かったかなあとか、あ、すっかり忘れてた、こんなたくさん買ったけなあとかなる。
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ほとんどの場合、あれ、これだけしか頼んでなかったかなあ、もっと注文しておけばよかったとはならない。営業マンは目一杯売ろうとしているので、それが見込みより少ない場合など、ほぼない。そんなことを思うクライアントは皆無と言ってよく、たいてい、うっ、ちょっと買いすぎたかなあと思っている。

とはいえ、そこはきっちり商談して納得して買っているので、一瞬そう思うことはあっても、それを受け入れないということはない。よし、いっちょやるかってなる。

実はこのちょっとした時間差が、クライアントと営業マンの認識の違いを産む。前述営業マンみさおにとって、クライアントに商品が届く日はもう過去のものとなっている。すでに3日もたっているので、中堅セールスマンみさおはその間にも、たくさんの商談をこなしているのだ。覚えているはずもない。

ここに問題が発生する場合がある。営業や販売を経験されているかたはおわかりになると思うが、商談は戦いだ。こちらは給料をもらうために必死で売る。向こうは命を削って集めたお金を出して、商品を買うか決める。最前線でたまをとりあうようなものだ。できればしたくないと思っている人も多いと思う。へとへとに疲れるからだ。

そんな商談。営業マンは終わったら忘れるが、クライアントは、商品を受け取る時に再び思いだす。ああ、そんなことがあったなと。それがちょっとづつ効いてくる。

そんなことを思っているとはつゆ知らず、中堅セールスマンみさおは、そのクライアントに再び商談に行く。当然、また大口の商談になるので、入念な準備をして行く。いちおう先月はありがとうございましたと、前回受注してくれたことへのお礼を言うが、目の前の商談に必死なので、お礼もそこそこに商談にはいる。クライアントは、あれ、それだけと思いながらも、時間がないので商談にはいる。準備が功を奏し、中堅セールスマンみさおは、また見事に受注する。外にでてガッツポーズによっしゃはお決まりのルーティーンだ。いつまでも喜んでいてはだめだと思いながら前に進む。もうこの商談は頭にない。

ところが、クライアントにこのときの商品が3日後に届く。そして再び思う、俺、こんなに買ったかなと。倉庫を見ると先月買った商品も目に入る。先月のも残っているなあと、なんかやるせない気分になる。まあ、でも買ったからなとあきらめモードで届いた商品を倉庫に並べる。

そしてついにクライアントがきれる。中堅セールスマンみさおは、翌月再びアポをとり入念な準備をして商談にはいる。先月はありがとうございましたとお礼を言って商談にはいる。するとクライアントが

「河村くん、もうええわ。いらん」

商談にはいる前にいきなり拒否られた中堅セールスマンみさおは驚いて

「えっ?」

と言うと同時にクライアントの顔を見る。すると、みるからに不機嫌そうにしたクライアントが

「もうええわ河村くん。おなかいっぱいや、買ってもらうときは調子のええこと言うて、いれるけど、いれっぱなしやんかあんたは。一回倉庫見てきてみ、おたくの商品どれだけ在庫あるか」

背中に冷たいものが流れた。おでこからは汗が滲んできた。その表情と口調から、そうとう怒っていることが見て取れた。ある程度営業経験を積んでいる中堅セールスマンみさおは一瞬で状況を理解した。しまった、おれ、やっちゃってる。そりゃそうやろ、毎月毎月こんなに買ってもらっているのに、俺はいれっぱなしやった。すこしのケアもしてなかったと。今日は商談は無理と思った中堅セールスマンみさおは、申し訳ありませんでしたと丁重にお詫びし、クライアントが部屋をでていったあと、静かに席を立った。

いつもの商談後の様子とは真逆。肩を落として、自分を責めた。買ってもらうのが当たり前と思う自分がいたことを猛烈に悔いた。自分の提案力があがったと調子にのっていた。そんなはずもないのに、クライアントさんが好意で買ってくださっていたのに、俺はそれをないがしろにしたと、おおいに落ち込んだ。

その日は仕事にならなかった。営業車をゆっくり走らせ、遠回りをして会社に戻った。

中堅セールスマンみさおはその後猛省し、方針の変更をおこなったのだが、またそれは別の機会にするとして、こういう営業マンは多い。営業マンが一様に悪いと言えない。ノルマに追われるとどうしてもそうなってしまう。商品届きましたかとケアしても1円も売り上げが、その場ではあがらないからだ。そんな暇があったら、次の商談にとなってしまう。

本当は違うんだけどね。そのあたりをないがしろにすると、いわゆるリピートがおこらない。本当はすごく大切なのだが、見失いがちになる。

たまにあるよね、商品購入後にハガキとかでいかがですかとケアしてくれる小売店さん。ああいうのって、まあ、形式的だとは思うが、なんかうれしい。ゴルフショップでボールを買ったことがあって、次に行った時に「このあいだのボールどうでした?とびましたか」と言われたことがあった。強烈に嬉しかった、おぼえていてくれたんだと。

人間て単純なんですよね。そういうことがうれしい。逆に、そういうことがないとムカつく。

これは、大変好評をいただいた前回の記事、

従業員があいさつをしなかっただけで、何千万円もの売り上げが0円になったりすることって実際にあると思いますか。あるんですよね、怖ろしいですが

売り上げをあげることと同じくらい、それを減らさない事に注力するという内容と、おなじテーマの記事なんです。売り上げ売り上げとやっていると見えいないことがでてくる。

経営者のみなさん、ノルマによる弊害もしかしたらあるかも知れませんのでご注意おば。

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