商売人はつねに厳しい立場に置かれている。お客様やクライアントさんは、こっちの事情なんてどうでもいいのである。

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あかん、あか〜んて、そんなとこでお客さん迎え入れたら。一生懸命大きな声を出してるから、お客さんには届いてはいるものの、でも、違う、そこはあかん。

驚いた。そんな接客は絶対アカンと思うのだが、店長自らがおこなった。

最近話題のカフェに行った。忙しかったのか、人が少ないのか、テーブルの上には飲み終わったあとのコーヒーカップや食べ終わった後のカレー皿、そして使い終わったおしぼりが、煩雑におかれている。そんなテーブルたちの間を通り抜けて、奥のテーブルに案内された。

私が座った席の向かいのテーブルにもコーヒーカップ2つとおしぼりが2つ無造作におかれたままだった。人が少ないんだなと思った。案の定、ウェイトレスさんはなかなかこなかった。まあ、そんなことは別にどうだっていい、急いではいないから、待ってればいいのだ。

見せたらあかん

コーヒーをカフェで飲むのは、もちろんおいしいコーヒーをってこともあるのだが、それ以上に、空間にお金を払っていると言っていい。高いコーヒー豆をミルで挽き、ドリップ方式で家で入れても、おいしいコーヒーはできる。しかも、かなり安価で、相当おいしいコーヒーが飲める。

そう考えるとカフェにはそれ以外の部分にお金を払っていると言えよう。閑静な住宅街の片すみにある、大きな広葉樹に囲まれたカフェ。店に入るとコーヒーの香り。高い天井と、雰囲気のあるインテリアとレイアウト。聞こえるか聞こえないかという大きさで音楽が流れている。

ゆったりとした時間がながれている。自分もそのリズムを崩さないようにと、案内してくれるウェイトレスの後を静かにあるきながら、案内された席につく。大きく息を吸い込み、キレイに拭きあげられたテーブルと、壁際におかれたナプキンたてとシュガーポットを眺める。チリひとつないそれが、さらに自分を、日常から開放してくれる。

おしぼりと水を持ってきてくれたウェイトレスにブレンドをたのむ。もういちど息を吸い込み、吐くと同時にソファーにもたれ、ひとときを噛みしめる。
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日曜日の早朝にはお父さんがひとりできている事が多いが、おそらく彼らは非日常を満喫しにきている。至福の時間を味わっているのだ。

だから、あかんねん。日常を思いださせる、汚れた食器と、使い終わったおしぼりが置いてあると。一気に現実に引き戻されるねん。絶対に、食器はひかないといけないねん。

噂のカフェだが、はいったことを、その時点で後悔した。380円のコーヒーがやたら高く感じた。

さらに続くカフェ劇場

まあ、ええか、気にせーへんかったらと、私はあきらめてコーヒーを飲んでいた。するとお客さんが入ってきた。このカフェも、今のほとんどの外食チェーンがやっているように、お客さんを入り口からはいった場所で、一旦止まっていただき「何名様ですか」と聞いてから、席に案内するスタイル。

店員が少ないから、お客様は、しばらくそこで待つことになる。わたしも待った。まあ、それは仕方ない、待つといっても1分も2分も待つわけではない。店内のどこかにいる、誰かが入り口に駆けよればいいのだ。

その客が入り口に入ってきたとき、たまたま店長が私の横にあるテーブル上にあるあいた食器を片づけていた。雰囲気から、この店長が対応する感じが漂っていた。そうすると、当然、店長が次に発する言葉は「少々お待ちください」のはずだ。店長が息を吸い込んだのを感じたわたしは、その声を待った。ところが、彼の口から発した言葉は予想を大きく裏切るものだった

「いらっしゃいませ〜、何名様ですか?」

おどろいた私は、口に含んでいたコーヒを吹き出しそうになった。ええええ、そこで受けるの?まじか?しかも、彼らに届けと、店長は声をはった。そのさまが、とてもユニークでおもしろく、私は、先ほどの不満が吹き飛んだ。この劇をみせてもらって380円は安いと。

同情の余地はある。もう疲れまくっていた。おれはなんでこの店で店長なんかやってるんやろ。バイトは勝手に休むわ、いてるやつは動かへんわ、ってな感じだった。本当なら、出迎えに行って、案内しないといけないのに、もう、あそこまで歩く気力もなかったのだろう。もうだめだ、せめて、声だけでもという感じだった。

「空いているお好きなお席にどうぞ〜」

と、結局、その場から動くことなく接客をおこなった。

普段はこんなことはないのだろうと思う。食器がテーブルに残っているのも、遠隔地からの接客も、すべて人員が足りていないことから始まっている。そのため店長は疲弊し、イライラしている。支払いのときに、わたしが小銭をだすのにもたついていたら、指でレジ台をトントンと叩いていた。おそらく無意識。

もし私が、もっと従業員が多い時間帯に行っていたら印象は変わっていたかも知れない。今回のだけで判断することは避け、また再び訪れようと思う。

それでも一時が万事という言葉もある。なかなか厳しい世界だなとあらためて思う。商売をしている私たちは、常にそういうところで生きていのだ。

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